Crop Circle>>日本では「ミステリーサークル」として知られている。

イギリス、それも南部と西部の夏によく出現する謎の幾何学模様。歴史上は1980年、イギリスの地方紙である「ウィルトンシャー・ジャーナル」が8月15日付の紙面で、ウェストベリーの山肌に円形の跡が見られると報道したのが最初であった。以後年々その数は増し、ピーク時には年間で1000以上ものサークルが出現したと言う。後日、悪戯で作っていたと二人組みの男が告白したが、とても二人だけでは作り上げることが無理な数字で、人為的な物とは思えない。
また1678年に出版された書物の中にも実はサークルを示唆する物があることがわかっている。今まで気付かれなかっただけでもっと昔からサークルは存在していた可能性は否定できない。
サークルは年々数だけが増えたわけではなく、その形も当初はただの円形だったものが次第に
複雑な幾何学的模様を成していった。ナスカの地上絵と同じで上空から見なければその模様が確認できないほど巨大な物も多い。これも悪戯説では説明のつかない事である。宇宙人が上空から描いたものと考えた方が理にかなっている。この模様があまりにもはっきりと示されているため、一部の研究家はUFOの着陸跡ではないかという説を唱えている。
自然に草が倒れて作られたという説はさらにナンセンスである。ミステリーサークルがはっきりと確認できるのは、草の倒れ方が鋭角であるから、なのである。どのような自然現象もこのように一部の草だけをシャープに寝かせることなどできない。
間違いなく、サークルは地球外の知的生命体からのメッセージである。我々はこの謎に真摯に取り組むべきだろう。

ミステリーサークルが歴史上初めてその姿を見せるのは1980年の新聞紙上であることは間違いない。イギリスの地方紙、「ウィルトシャー・ジャーナル」が1980年8月15日付けの紙上で、ウェストベリーの山肌に現れた白馬(ホワイトホース)の絵の真下に直径18メートル程の円形の跡が見られる、という記事を載せたのが最初の報道であった。それ以前のマスコミの報道にはどこにもサークルはでてこない。
じゃあ1678年に出版されたという本の挿絵ってのも嘘なのかと言うと、これも一応存在はしている。ただその挿絵は別にサークルを示唆しているようには見えないのがちょっと困った所である。この挿絵、キャプションもついているんだがそこにはしっかり「
草刈りデビル」って書いてあるんだよね・・・確かに鎌持って草刈ってはいるけど、これをもってサークルがこの時代に存在したと決めるわけにはいかないんじゃないかと思うよ。

草刈りデビル。やけに親しみを感じる悪魔だなあ・・・

この草刈りデビルは農作物の収穫を妨げる悪魔という触れ込みなんである。昔は今ほど危機管理もできていなかった時代なわけで、当然野生動物に農作物を荒らされることも多かった。そういう寓話的なシンボルだったらしい。第一、ミステリーサークルって「草が
倒れている」んであって「草が刈り取られている」わけではないんだよね。

1980年以後、1990年くらいまで様々なパターンのサークルが主にイギリスの南部と西部に出現し、その統計によると1988年のピーク時には50種類以上確認されている。日本でも一時期盛んに報道されていたから、記憶にある人も多いかもしれない。しかしここ数年
ほとんど話題にすら上らなくなってきているのも事実である。実はいまだにイギリスでは根強い人気があるんだが、報道されなくなったのは理由があった。まあそれは後で述べよう。

サークルが自然の産物ではない、というのはうなづける主張だと思う。草が実にシャープに倒れているおかげで上空からでもはっきりと図形と識別できる、というのも本当。またこの寝かされた草はただシャープに曲がっているだけで、ちゃんとその後も育ち続けるというからちょっと驚きだ。植物って強いんだなあ。
なお、この植物について「組織が変容している」なんて報告があったりするんだが、ただ単に踏まれたから破壊された以上の変化ではないらしい。化学変化を起こして植物が動物になってたりしたらかなり説得力があるんだけど、残念ながらそこまで
劇的な変化をしたという報告はない

このミステリーサークルが爆発的に増え始めるのは1989年にテレビ会社がこのミステリーサークルに注目し、特別番組の中で全国に報道した頃からであった。数多くの新聞などの報道機関がその後を追い、翌年にはなんと
232個ものサークルが発見されたのである。前年までが50個程度だったことを考えると圧倒的な多さだ。ちなみにこの1990年というのがサークル人気(?)のピークだったらしく、翌年は181個に落ち、その後1990年の記録を越えた事はない。一部の統計で年間多い年で1000個以上のサークルが出現したというのがたまにあるが、あれは間違い。そうした統計の内訳をよく見ると、円形の部分だけ、もしくは区切れる部分は全部区切って数えたりしていたことが明らかになっている。例えばこんな写真だと

一番左のちっこい物から、
2重になってるものを2個と数えたりする事で12個とか数えていたらしい。そりゃ増えるよ(笑)。まぁこういう類の水増しがあって、初めて1000という数字が出てくるらしい。ミステリーサークルのデータベース(CERES)でも、最高出現数は1990年の232個である。

ミステリーサークルは、年を経るごとに明らかにその容貌を複雑化・高度化していった。これは事実で、最初の1980年の報道では単純な円形だったものが、徐々に複雑化・高度化していき、方形・三角形・渦巻型・円錐型・カール型などが次々と出現し、それらを組み合わせた幾何学的な図形や直線的な構造を持つ象形文字のような物も確認されている。近年になると
もうすんごいのが出てきたりする。



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なんかもうやけくそな気がしないでもない・・・

確かにこういうのを見ると、ミステリーサークルは精巧かつ緻密な計算で作られた物である事は一目瞭然だ。このミステリーサークルの製作者は誰なのか、どういう方法でこのような精巧な図形を描いているのか、そしてその意図している事は何なのか。これらを巡って様々な主張が出された。U.F.O.によるメッセージである・実はU.F.O.が着陸した跡だ・遺伝子学的な突然変異だ・いやいやプラズマですよ。でもどの提唱者も確固たる証拠を提出する事はできず、この謎も永遠に解けないかと思われた。

ところが、意外なところから真相が明らかになっていったんである。1991年9月、イギリスの
「トゥデイ」紙の報道がその発端となった。ダグ・バウアーとデイヴ・チョーサーという二人組の老人が、「自分たちがサークルを作っていた」と告白したのである。この告白を受けて、BBC(イギリス放送協会)のプロデューサー、ジョン・マクニッシュはその真偽を確認する為に、ダグとデイヴに数多くのサークルを、様々な状況で作らせた。そして二人は見事にそのテストに合格したのである。どんな複雑な図形も、二人は作ってみせた。ロープと板、そして図面だけという至って簡単な道具を用いるだけで、昼も夜も、その形も大きさも問わず、二人だけで。肯定派からは、しばしば高度な知性の証とされてきた「草が三つ編み上に編まれて倒されている」ことも、板を踏んで回転させるだけで簡単にできてしまうことが確認された。(そんなもんだよな(笑)人間が、専門家たちの予想より遥かに少ない人員と労力で見事にサークルを作れることを証明したのである。そう、実はサークルはこの二人の悪戯だったらしい(笑)。
もっとも、同じ結果を再現できるからといって、それがU.F.O.や自然界の突然変異ではないと立証できる事にはならない。しかしながら、この結果は「人類よりより高度な知性」などなくても十分作れる、という証明にはなっているのは間違いない。よくよく考えて見れば人間だって高度な知性を持っているわけだしね。それでもなお肯定派からは「二人だけで232個ものサークルなど作れるはずはない(なにせこの二人は相当なお歳を召していたのだから)」などの疑問の声があったんだが、徐々にその声も廃れていくようになる。

1990年、マスコミがサークルができる瞬間を捕らえようとして、暗視カメラを設置して監視していたところ、その目の前でサークルを「人によって」作られてしまうという事件が起こっている。また、「プラズマでサークルは生成される」と主張していた気象学者、テレンス・ミーデン博士が(海の向こうにもこういう人いるんだなあ・・・)人の手によって作られたサークルを「本物」と保証してしまった事件もあった。その後で作り上げた団体から「あれは悪戯です」と告白されて
困惑する一部始終をテレビで放映されてしまったのである。テレンス・ミーデン博士は科学者の中でも支持を集めていたサークル自然生成主張者だっただけにその影響は大きく、以後博士自身も全てをプラズマで説明しようとしていた事を自己批判して手を引く事を表明した。(このあたりが日本の物理学者とは随分違うね。)また、英国のミステリーサークル専門紙「クロップ・ウオッチャー」の1992年7・8月号によると、英国だけでもサークルを作っている団体は20団体以上が確認された。これらの報道により、サークルは人為的な物というイメージが広まり、廃れていく事になったのである。まぁこれじゃあさすがに報道はできなくなるわな。

で、サークルを作る活動に参加した人たちの感想を聞いてみるとこのサークルの別な意義が見えてくる。どんな形であれ、人々はサークルを作る事を通じて普段の生活では味わえない自然との一体感や他の人と協力して物事を成し遂げる達成感を持って帰っていくらしい。一種のネイチャーゲーム。そういう側面からアカデミックにこの現象を捉えてみるとなかなか有意義な物と思われる。そもそもの発端となったダグとデイヴにしても平凡な日常にちょっとした謎を提供して人々を驚かせ楽しませることが目的だったと告白しているんである。

今でもなお、英国ではミステリーサークル愛好家たちの手で、サークルが作られているそうである。なんか、こういうおおらかさがいいなあと思ってしまうのは島国のひがみなのかもね。

でもいくらなんでもこれはやりすぎだと思うぞ(笑)

関連リンク
Cropcircles.org
CropcirclesAnomalityWebsite
DIY Cropcircles ←サークルの作り方教えてくれるそうです。
LucyPringle's ←サークルの写真がいっぱい。ポスターとかも売ってます。
CSICOP内のミステリーサークル実験報告 ←かなり細かくやってます。

参考文献:
「TheCropWatcher」Issue14,1992
「ミステリーサークル黙示録」かもがわ出版、1997